Q. 定年退職後の健康保険はどのようになるのでしょうか?
定年退職すると健康保険が変わりますが、どのようなシステムになるのか教えてください。
A. 会社を辞めると、会社の組合健康保険から国民健康保険に入る

 老後の最大の不安は、ボケを含めた健康の問題です。ガンや糖尿病、脳卒中など、若いころはそれほど気にならなかったことが、切実な問題として眼前に現れてきます。いずれも寝たきりや死に直結した病気だけに深刻です。
「さあ、いよいよこれから自分自身の新しい人生を満喫するのだ」と思った矢先に、床に伏してしまうのであっては、本当につらくやりきれないでしょう。健康で元気にすごせるということが、退職後の人生における最大の課題なのです。健康あっての仕事、健康あっての家庭、健康あっての生きがい・ボランティアなのです。

 ここで、健康を支える大事な健康保険について、触れておきましょう。会社の健康保険組合に加入しているサラリーマンは、その保険証で治療を受けることができました。
 保険料は会社が半額負担、治療費も2割負担ですみましたから、経済的にはかなり優遇されていたといえるでしょう。しかし、「医療制度改革」では、2003年度より、@これまでサラリーマンの治療費自己負担は、これまでの2割負担から3割負担に。A高齢者医療の対象を75歳以上に段階的に引き上げ、自己負担は70歳以上は定率1割。B高所得者には応分の負担を求めることなどが決まった。
 会社を辞めると当然のことながら、会社の組合健康保険証の資格を失い、保険証は返却しなければなりません。そのかわり、原則として国民健康保険に入ることになります。

 国民健康保険に切り替えると、経済的負担が若干重くなります。病院での治療費はこれまでの2割負担から3割負担になります。
 また、保険料もそれまでと異なって全額自己負担となり、しかも、前年の所得額などによって計算されるので、ほとんどの場合、退職後1年目はそれまでの保険料よりもぐんと高くなってしまいます。退職して収入が激減しても、サラリーマン時代の給料から保険料を割り出すので、こうした現象が生まれてくるのです。

 ここで知っておきたいのが「任意継続被保険者」という制度です。これは社員でなくなったとしても、希望すれば二年間だけは従来どおりの健康保険が使えるという制度です。
 55歳以上の退職した人については、2年を超えて60歳になるまで任意継続ができます。
 この任意継続が終了すると、最終的には誰もが国民健康保険に加入しなければなりません。ただし任意継続にしたとしても、自己負担する保険料は以前よりも高くなります。なぜならば、在職中の会社半額負担がなくなり、全額自己負担となるからです。一概にはいえませんが、およそ在職時代の1.5〜2倍程度になります。それでも国民健康保険に保険料よりは安くなるのが普通です。
 すぐに国民健康保険に切り替えるか、任意継続被保険者となるかは、各個人の選択によりますが、退職後20日以内に所定の書類で申請しないと任意継続被保険者にはなれず、結果として国民健康保険に加入することになります。
 申請書類は、社会保険事務所や健康保険組合の窓口に備えつけてありますので、受け取ってきましょう。その場合、被扶養者がある場合は、「被扶養者届」も忘れずにもらってください。

任意継続被保険者制度と国民健康保険との違い
 
任意継続被保険者
国民健康保険
加入要件 退職日までの健康保険加入期間が継続2ヵ月以上あった人 会社に勤務しない人、または任意継続被保険者・特例退職被保険者にならない人
加入手続き 退職日の翌日から20日以内に社会保険事務所、または健康保険組合に申請書を提出 住民となった日、または退職日の翌日から14日以内に、市区町村の役所に資格取得届を提出
自己負担 本人2割・家族3割(家族は入院したら2割) 本人・家族とも3割
保険料 退職時の標準報酬月額か、その人が所属する政管健保(または組合)の全被保険者の前年度の10月末の平均標準報酬月額 市区町村の実情に応じて、保険料の賦課方式を所得割、資産割、被保険者均等割、世帯別平均割の4方式で行う市区町村がほとんど
※2003年度よりサラリーマンの自己負担は3割になる