Q. 年金の受給額の算定方法を教えてください
年金がいくらもらえるのか気になります。簡単な計算方法はないのでしょうか。
A. 社会保険事務所の「年金額の試算サービス」を利用しよう

 定年退職者にとって、年金をいくらもらえるのかというのは最大の関心事です。
 しかし、一概に年金に加入しているといっても、その種類、いつまでどの年金だったのか、何年ぐらいサラリーマンをやって、どのくらいの額の保険料を納めていたのか、ひとりひとりの事情やいきさつは、まさに千差万別です。
 ですから、そうした事情をひとつひとつ踏まえて、それぞれが受け取る額を算出するというのは、非常に複雑で大変な作業です。素人の方がすぐに計算できるようなものではありません。

 そこでお勧めしたいのは、社会保険事務所で行っている「年金額の試算サービス」です。社会保険事務所に行けば無料で行っていますので、定年が近づいてきたら、退職一、二年前に出向いていって試算してもらいましょう。
 定年退職を目前に控えた時期よりも余裕をもって調べておいたほうが、定年後の人生設計もしやすいでしょう。試算を受けつけているのは、社会保険事務所の「年金相談室」です。退職前であれば会社の所在地の社会保険事務所へ、退職後は自分の居住地の社会保険事務所の「年金相談室」に行ってください。社会保険事務所では、年金手帳に記されている基礎年金番号によってデータを引き出し、コンピュータで試算をしてくれます。
 ですから社会保険事務所に行くときは、年金手帳と印鑑を忘れず持参してください。

 それぞれの受給額を算定するには、社会保険事務所で試算してもらう方法が一番確実で手っ取り早いのですが、一応ここでも、その算定方法を紹介しておきます。
 まず、老齢厚生年金の年金額は「報酬比例部分の年金額」と「加給年金額」を足したものです。加給年金額についてはのちほど触れますので、まずは報酬比例部分の年金額を出します。そのときの計算式は、つぎのようになります。

 平均標準報酬月額×乗率×被保険者期間の月数×物価スライド率

 「平均標準報酬月額」とは、被保険者であった全期間の標準報酬月額(企業から支払われた月給のこと)の平均額です。
 「乗率」は平成12年に法改正され、現在は1,000分の7.125となっております。ただし、昭和21年4月1日以前に生まれた人については、生年月日に応じて、1,000分の7.230〜1,000分の9.5のあいだで段階的に定められています。詳細については、下表を参照してください。
 「物価スライド率」は、年金額を物価の変動に応じてスライドさせて、実質的な価値を維持するためのものです。

 一方、特別支給の老齢厚生年金の額は「定額部分」と「報酬比例部分」に「加給年金」の額を加算して求められます。
 比例報酬部分の計算式は、老齢厚生年金額の場合と同様です。なお、定額部分の計算式はつぎのようになります。

 定額単価(1,676×政令で定める掛け率)×被保険者期間月数×物価スライド率

 政令で定める掛け率は1.875〜1.000のあいだで、生年月日に応じて定められています。詳細については、下表を参照してください。
 被保険者期間月数は上限があり、昭和9年4月2日以降に生まれた人に関しては、444カ月、つまり37年を上限とします。
 年金額は当然のことですが、加入期間と、もらった給料に比例して多くなります。納めた総額が多い人ほど、多くもらえるわけです。加入期間の長い人は、定額部分、報酬比例部分とともに、計算の基礎となる被保険者期間の月数が多くなります。また、給料が多かった人は、報酬比例部分の計算の基礎となる平均標準月額が高くなりますから、年金額も増えます。

生年月日別給付乗率と定額単価
※( )内は従前の給付率
生年月日
報酬比例部分の給付乗率(A)
定額部分の単価(B)
大正15年4月2日〜昭和2年4月1日
千分の9.500(10.00※)
1,676円×1.875
昭和2年4月2日〜昭和3年4月1日
千分の9.367(9.86)
1.817
昭和3年4月2日〜昭和4年4月1日
千分の9.234(9.72)
1.761
昭和4年4月2日〜昭和5年4月1日
千分の9.101(9.58)
1.707
昭和5年4月2日〜昭和6年4月1日
千分の8.968(9.44)
1.654
昭和6年4月2日〜昭和7年4月1日
千分の8.845(9.31)
1.603
昭和7年4月2日〜昭和8年4月1日
千分の8.712(9.17)
1.553
昭和8年4月2日〜昭和9年4月1日
千分の8.588(9.04)
1.505
昭和9年4月2日〜昭和10年4月1日
千分の8.465(8.91)
1.458
昭和10年4月2日〜昭和11年4月1日
千分の8.351(8.79)
1.413
昭和11年4月2日〜昭和12年4月1日
千分の8.227(8.66)
1.369
昭和12年4月2日〜昭和13年4月1日
千分の8.113(8.54)
1.327
昭和13年4月2日〜昭和14年4月1日
千分の7.990(8.41)
1.286
昭和14年4月2日〜昭和15年4月1日
千分の7.876(8.29)
1.246
昭和15年4月2日〜昭和16年4月1日
千分の7.771(8.18)
1.208
昭和16年4月2日〜昭和17年4月1日
千分の7.657(8.06)
1.170
昭和17年4月2日〜昭和18年4月1日
千分の7.543(7.94)
1.134
昭和18年4月2日〜昭和19年4月1日
千分の7.439(7.83)
1.099
昭和19年4月2日〜昭和20年4月1日
千分の7.334(7.72)
1.065
昭和20年4月2日〜昭和21年4月1日
千分の7.230(7.61)
1.032
昭和21年4月2日以降生まれ
千分の7.125(7.50)
1.000
(2002年1月現在)

 老齢厚生年金額や特別支給の老齢厚生年金額に含まれる「加給年金」について触れておきます。
 加給年金とは、ある一定条件を満たす配偶者や子供がいる場合に、加算される年金のことを指します。
 受給権者本人の条件としては、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あることが必要です。加えて、特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになったときに、その受給権者によって生計を維持されている、つぎのような条件を満たす配偶者や子供がいる場合に、加給年金がもらえます。
 受給権者によって生計を維持されているというのは、被扶養者の年収が将来にわたって850万円未満である場合です。

  1. 65歳未満の配偶者(配偶者が大正15年4月1日以前生まれの場合には、年齢制限は生じない)
  2. 18歳未満の子供
  3. 20歳未満で、1級・2級障害のある子供

 この加給年金は、妻が65歳になるまでは夫側の年金に加算される仕組みになっていますが、妻が65歳になると妻側に振り替えられます。