Q. 退職した夫が家にいると、疲れてしまいますが?
定年退職した夫がずっと家にいると、すごく疲れてしまいます。何かいうとすぐに怒るし、腫物に触るような毎日です。何とかうまく操縦したいと思っているのですが、私も、ついつい言葉がきつくなってしまいます。
A. 「定年会社」の新米だと思い、しばらく見守ろう

 そういう気持ちはよくわかります。しかし、少し長い目でみてあげてほしいのです。
 定年退職前後という時期は、人生最大の変革期なのです。多くのストレスを抱えているのです。ご主人が順応していくまで我慢が必要です。
 その期間は、だいたい半年間ぐらいです。
 定年退職したばかりのころは夏休みのようなもので、最初の一カ月はあっという間にすぎます。しだいに生活が落ち着いてくると、自分の身に何が起きたのかを初めて理解しはじめます。
 そして、これからどうしようということを模索しはじめます。それからゆっくりと動きだすのですから、すぐには飛び立てるはずがありません。
 定年退職した夫は、新たに「(株)定年」という会社に就職したと思ってください。
 しばらくのあいだは右も左もわからない「新入社員」なのです。人間関係もわからないし、的確な指示をしてくれる人もいません。まして、この「(株)定年」が所属する「地域社会」という業界のことなど、さっぱりわからないのです。
 そこで、先輩としてリードしてあげられるのが、妻なのです。
 地域社会のなかで、どうやって生きるのか、どのように人間関係をつくるのか、家のなかでの仕事、たとえば庭掃除やちょっとした料理の仕方など、教えてあげてください。
 「(株)定年」での上司は自分だとの思いで、しばらくそっと見守ってあげましょう。その際、ご主人のプライドを傷つけないよう、言動には充分な注意が必要です。

Q. 退職後、怒りっぽくなりました。ボケの前兆では?
退職してから怒りっぽくなってしまいました。なぜかわからないのですが、イライラしているのが自分でもわかります。妻や子供も腫物に触るように遠慮しはじめています。
このままでは家族に申し訳ないし、自分の新しい生活にとってもいいことではありません。わかってはいるのですが、どうしてもこうなってしまいます。もしかして、ボケの予兆なのかなという気もします。
A. 定年退職直後は、みんなストレスがある。あなただけではない

 このような話はよく聞きます。それほど心配する必要はないでしょう。
 ある調査によると、長かったサラリーマン生活から身を引いたばかりの還暦前後の人たちが、一番ストレスを抱えているというデータがあります。
 そのころの男性は、長年築き上げてきた社会的地位や人脈、そうしたものをすべて定年退職という社会制度によって剥奪されてしまいます。
 自分が必要とされなくなり、自分の居場所を剥奪されたという疎外感にも似た思いにとらわれることがあるようです。人間は誰しも、人や社会から必要とされたいと願っています。
 それこそが自分の価値であり、生きがいになるので、そうしたものを一気に失うということは、相当なストレスとなるでしょう。
 かたや、これから新しい人生を構築するための模索を始めます。生きがい探しを始めたり、ボランティアなど、さまざまな社会参加の機会を見つけようとします。
 その際、自分にぴったりなものを見つけられないと、しだいに人生に対する焦りを覚え始めます。こうしたことが絡み合って、イライラへとつながっていくのです。
 また肉体的な変化も見逃せません。血管の老化によって、脳の血流量が減少し、慢性的に酸欠状態になることがあるようです。
 そうすると、若いころのように脳の働きが活発でなくなり、思ったとおりの思考ができない、反応ができないというケースも出て、さらにイライラするようです。
 いずれにしても、この時期の男性は皆さん多少のストレスは感じています。あなただけではありません。それほど悲観的になる必要はないでしょう。
 新しい生活に慣れ、新しい自分の生き方が見えてくれば、そうしたストレスは徐々に解消されていくと思われます。
 あまり焦らず進んでみてはいかがでしょうか。