Q. 人生の晩年において、よい夫婦関係をつくるには?
定年退職してまだ一年も経っていませんが、可もなく不可もない生活を送っています。
妻も特に不満を抱えているようすではないので、熟年離婚はないと思いますが、退職してみて、人生の最終章は、妻とふたりで築いていくしかないのだということを、あらためて実感しています。
これから先、よい夫婦関係をつくっていくためのアドバイスをお願いします。
A. 夫婦それぞれが自立した生き方を見つけ、情報発信しよう

 自立した夫婦になる、ということに尽きるのではないでしょうか。
 夫婦はふたりでひとりではなく、ひとりとひとりで夫婦なのです。ふたりで「向き合うような」生き方をしていても息づまるだけです。
 おたがいに手を取り合いながらも、それぞれが前を向いて生きていくような生き方が、理想だと思います。
 特に夫が会社で仕事をしているあいだは、夫婦はそれぞれの役割分担がはっきりしていました。
 しかし、夫が退職して家にいる時間が長くなると、役割分担が不明瞭になってきます。夫も家事の手伝いをしなければならないし、妻がパートに出るようなケースもあるでしょう。
 そうなると、なおさら、それぞれが自立した人間として生きていかないと、行きづまってしまうのです。
 具体的にいえば、ボランティアをはじめとした新たな生きがいを見つけ、そこに新たな自分の生き方を見出すことが必要でしょう。
 人間は誰でもかならず意味があって、この世に誕生しているのです。会社勤めをしているときは、ビジネス社会のなかで社会貢献していたのですが、退職後は自分の目と足で、自分らしい社会貢献を探さなければ、生きがいなど、そう簡単に見つかるものではないでしょう。

 退職したあとの夫婦こそ、それぞれが自立した個をつくらなければなりません。
 それぞれが自立した形であってこそ、おたがいを尊重できるので、依存しあう関係であっては、熟年期の夫婦関係はかならず行きづまります。
 夫婦それぞれが自立した生き方をしているからこそ、おたがいを尊重できるのです。
 妻を尊重すれば、夫も尊重されます。尊重というものには、一方通行は絶対にありえないのです。妻を尊重しないから夫も尊重されないのだと思わなければいけません。
 熟年期の女性は、自分の世界や考え方、交友関係を驚くほど持っているものです。持っていないのはむしろ男性のほうなのです。
 このようにいうと男性諸氏から反発を受けそうですが、男性が築きあげてきた世界や考え方というのは、意外と独りよがりで地に足がついていないものだったり、企業という看板によりかかったものだったりするのです。
 名刺から企業名がなくなったとたんに、気がつきたくない自分の姿が見えてくるのです。 そういうことを認め合いながら、さらに自立した夫や妻になるために努力する必要があるのが、退職後の夫婦なのです。何事につけ、前向きに進んでいる場合は、外に対して情報発信をしたくなるものです。情報発信ができないのは「生き方が停滞している」からなのです。
 貪欲に前へ前へと進んでいる人は、自分のなかにいろいろなものが蓄積されていくので、いくらでも情報発信ができるのです。
 情報発信できる夫婦であれば、会話も楽しくなり、豊かなコミュニケーションへとつながります。何もしていないから、話すことが何もないのです。
 自分の生き方を見つけ、自立するための生き方をすることが、将来にわたって豊かな夫婦関係をつくるための秘訣だと私自身は思っています。